ぶろぐ

理転もしたけれど、わたしはげんきです。

トイレのインタフェース

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誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論

誰のためのデザイン? 増補・改訂版 ―認知科学者のデザイン原論

 

 

履修中の授業において「身の回りにある、『悪い(良い)インタフェース』例をひとつ挙げよ。」という課題が与えられました。どちらかというと悪いインタフェース(BAD UI)が主題だったのですが、あまり思い付くものがなく、最近印象的だった好例を取り上げることにしました。

 

京王井の頭線吉祥寺駅構内にあるトイレをご存じでしょうか。
つい最近リニューアルされたような、清潔で洗練された印象を受けるトイレです。その男性小便器なのですが、まあとにかく「幅が狭い」「横がオープン」という形状をしています。メーカーの印字がなくて判別できなったため(もしかしたら、外国製?)、似たデザインの小便器をTOTOのページから探しました。

小便器: Product Lineup | TOTO RESTROOM ITEM 01

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まあ、実際はこれよりもっと楕円形なのですが、イメージはこんな感じです。横から見るとスパッと断面が切られているデザインであり、だいぶオープンです。では、このトイレのどこが「良いインタフェース」なのか。私の考えは次の通りです。

 

まず、この小便器を目の前にしたとき、男性はどのような感覚を抱くでしょうか。これは実体験しないと理解しにくいと思いますが、この小便器で用を足すことを躊躇する可能性が高いはずです(少なくとも私はそうでした)。一般的な小便器はもっと幅が広くて横のアーチが深くなっています。また、横には壁のようなものがある程度存在しているはずです。

トイレ設備調査日記atosatu : 2012年07月01日

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この安心感が全て失われた小便器を目の前にすると、なんだか不安になります。これは、オープンすぎやしないか・・・という感じで。すると、人は安心を求めて自然と一歩前に足を進めるのではないでしょうか。

 

これが一連の流れですが、ここで重要なのは「自然と一歩前に足を進める」という点です。女性には全く理解不能だと思いますが、この行動はトレイ管理者の立場からすると願ったり叶ったりのものなのです。前に進むほど小便器外に飛び散る範囲と量が小さくなるはずで、それがトイレ内の匂いと清潔感を保つことにつながるためです。

@nifty:デイリーポータルZ:男子のみぞ知るトイレの注意書き

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このような張り紙を男性であれば誰もが目にしたことがあるでしょう。世の中に存在すするあらゆる注意書きの紙は無意味だと私は思っているのですが、これも同類です。一枚の紙で自分の習慣をすぐに変えられるほど人間は柔軟ではありません。しかし、今回取り上げた小便器は、利用者の無意識の中でこの習慣を変える可能性を秘めていると思います。

 

デザイナーの方がここまで意図されたかはわかりません。しかし、不安や羞恥心という感情をうまく利用した事例になっていると感じました。ただし、ここで取り上げた不安や羞恥心というのは完全に私個人の感覚です。そのため、実際に有効であるかを通常の小便器と比較して調べる必要はあると思います。

 

ターゲットマーク付き小便器。 ( 自動車 ) - 別室 ZZR250 & ZZR400 の部屋 - Yahoo!ブログ

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あと、男性小便器といえば「マークを貼る」というのも有名で、これも一昔前は優れた事例として取り上げられていました。この目的も同じく飛び散りの防止なのですが、逆にここに目線を向けたままだと身体を前に進められないのでは・・・、と前々から思っています。やはり、とにかく「一歩前に足を進める」方が目的達成には有効なのではないでしょうか。